精神科や心療内科を受診するタイミング

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精神科や心療内科を受診するタイミングは迷いやすい?

発熱や下痢、外傷などの身体的な異常は健康な状態な人にはない症状なので、「症状があるから病院を受診しよう」と、受診の判断は比較的しやすいです。

一方で、不安や気分の落ち込み、不眠などは健康な状態の方でもよく経験するものなので、精神科や心療内科を受診したほうがいいのかタイミングに迷うことも多いでしょう。

そして、「そもそも精神科や心療内科はどんな時に受診する科なのか?というところから、実はよくわからないという方もいらっしゃると思います。

同じような疑問を持っているA子さんが、めがね先生の元を訪れたようです。ちょっとみてみましょう。

 

 

初めまして、A子さん。

今日は私に聞きたいことがあるそうですね。

初めまして、めがね先生。

そうなんです。ちょっと、申し上げづらんですけど。。。

大丈夫ですよ。

わかる範囲でお答えしますから、なんでも聞いてください。

実は、そもそもなんですが、精神科とか心療内科はどんな時に受診していいのか分からなくて。

なるほど!

確かに、「そもそも」な質問ですが、実はそういう患者さんも結構いらっしゃるんです。

そうなんですね。私だけじゃないなら、安心しました。

はい。意外と「あるある」です。

精神科の受診を検討したほうがいいときは、もちろん精神的不調を来した時です。

精神的な不調になると、このような症状が出てくることがあります。

・持続する不安
・発作的に出現する不安(不安発作)
・気分が沈む(抑うつ気分)
・何をしても楽しいと感じなくなる(喜びの喪失)
・急に涙が出てくる(情動不安定)
・意欲がわかない(意欲低下)
・疲れが取れない(易疲労感)
・眠れない(不眠)
・些細なことでイライラしてしまう(易怒興奮)

・身体科では異常を認めない身体症状(めまい、痛み、吐き気、脱力など)

なんか症状を見てみると、自分にも当てはまる症状が多い気がしますが、私も受診が必要ってことでしょうか。

いくつかの症状が当てはまるからといって、すぐに受診をしなくても大丈夫ですよ。

例えば、不安や気分の落ち込み、怒りなどは健常な人もよく体験するものです。

でも、症状が長く続いたり、仕事や学業などに差し支えがある程度な場合は受診を検討しましょう。

ちなみに、うつ病エピソードの診断には、①ほぼ毎日 ②1日のうち大半 ③2週間以上症状が持続している という基準が含まれています。

なるほど。

精神症状の強さや持続期間、そして日常生活への支障の程度を考慮して受診を検討すればいいんですね!

その通りです。

ちなみに、精神障害が重度になったときなどは、本人が不調に気づけないこともあります。

そのような時は、ご家族や周囲の人が本人を受診をさせる必要があります。

本人が自分の調子の悪さに気がつけない時もあるんですか!?

では、家族から見てどのような状態の時に、受診させたほうがいいいでしょうか。

例えば、

・誰かと会話をしているかのような独り言を言っている(独語)
・1人で笑っている(空笑)
・事実と異なることを言い、考えを修正できない(妄想)
・急に常に上機嫌になったり、お喋りになり、物をたくさん買い出した(躁状態)
・物忘れに興奮なども認めるようになった(認知障害、周辺症状)
・自殺についてよくほのめかすようになった(希死念慮)


こんな症状を認めたら、家族や周囲の人が精神科の受診を促さないといけません。

そうなんですね。

とりあえず、クリニックに連れて行けばいいでしょうか。

クリニックでも受診しないよりはいいですけど、本人が病気の自覚がない場合は、入院治療も考慮しないといけないこともよくあります。

せっかく受診するなら、クリニックよりも精神科病院の方が対応しやすいかもしれませんね。

わかりました。

今回お話を聞かせていただいて、精神科を受診するタイミングなどについてなんとなくイメージができた気がします。

ありがとうございました。

それはよかったです。

とりあえずお電話いただければ、受診の適応になりそうかはスタッフが話を聞かせていただいて判断しますので、迷ったときはお気軽にお電話ください。

エピローグ

いかがでしたでしょうか。

教えてめがね先生シリーズ①のテーマは「精神科や心療内科を受診するタイミング」でした。

今回、このようなテーマで書こうと思ったきっかけはいくつかありますが、1番の動機になったのは実在の患者さんでした。

開業後間もなくいらっしゃった50代の女性で、精神科の受診は初めての方で、「1週間前に旦那さんの浮気が発覚してから不安が強くなり、急に動悸がしたり眠れなくなった」とういうのが受診理由でした。

そして、診察の冒頭に「こんなことで病院に来てよかったのでしょうか」と、とても恐縮しながらおっしゃられたのが印象的でした。

夫の不貞の発覚をきっかけに、不安が高まり動悸や不眠などの症状が続いている状態であり、受診していただくのは問題ないです。

本人には受診したことは全く問題ないことをお伝えし、30分ぐらいかけて旦那さんとの関係や今回の出来事についてお話を伺いました。

初診の終了時には「聞いてもらってだいぶ楽になりました」と話され、こちらからみても来院時の顔の強張りもとれてだいぶ落ち着いた様子でした。

また、「内容が内容だったので友達にも相談できず1人で悶々としていたけど、話を聞いてもらうことで気持ちの整理もつき楽になった」ともお話しされておりました。

「適応障害」と診断し、薬は不安・不眠時の頓服のみ処方し初診は終了。

2週間後の診察時にはだいぶ落ち着いており、頓服も数回使ったのみでした。

不貞については今回だけは様子を見ると決めたそうで、診療は2回だけで終診としました。

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