【春に多い!】適応障害とは

適応障害の選択

4月に引っ越しや転職、部署変更、入学などの生活の変化があった方の中で、「4月はなんとか乗り越えたけどかなり疲れを感じている」「まだまだ環境に慣れなくて毎日が辛い」「イライラしたり泣けたり、情緒が不安定になっている」という方はいらっしゃいませんか。

当てはまるようでしたら、適応障害かもしれません。

適応障害は環境の変化にうまく適応できず、気分が落ち込んだり、不安が強くなったり、イライラしたりする疾患です。

世界保健機構の診断ガイドライン(ICD-10)では、「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されています。

 

適応障害の原因

適応障害のきっかけになるストレス因は、生活の変化や出来事がその人にとって重大であればなんでも原因になる可能性はあります。

たとえば、引っ越しや転職、異動、入学、転校、クラス替え、病気や親しい人との別れ(死別、破談)、不倫の発覚、事故、災害などです。

一見喜ばしいことである、入学や昇進、結婚、出産などの変化がストレス因になることもあります。

新型コロナウイルスの出現当初は、マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保など急激な生活様式の変化が起こり、さらにコロナへの恐怖心も重なり、社会的に適応障害気味の人が多かった印象です。

 

適応障害の診断

前述のICD -10では「発症は通常生活の変化やストレス性の出来事が生じて1カ月以内であり、ストレスが終結してから6カ月以上症状が持続することはない」とされています。

精神科でよく使うもう一つの診断基準であるDSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)では、「症状はストレス因子の始まりから3ヶ月以内に出現し、ストレス因子の消失後6ヶ月以内に改善する」とされています。

2つの診断基準からは、環境の変化やストレスとなる出来事が起きてから1〜3ヶ月以内に発症し、ストレス因がなくなると6ヶ月以内に改善する疾患であることがわかります。

3月末から4月初旬は、入学や進級、昇進、部署変更、転居などの生活環境の変化が起きる時期なので、春は適応障害になる人が増えやすい時期なのです。

季節型うつ病のように生物学的な要素の影響で春に増えるのではありません。

 

適応障害の症状

適応障害の症状は多岐に渡りますが、大抵は複数の症状が同時に出現します。

  • 気分の症状:気分の落ち込み、涙もろさ、意欲低下など
  • 不安の症状:動悸、焦燥感、神経過敏、緊張、怒りなど
  • 身体の症状:起床困難、頭痛、めまい、動悸、倦怠感、腰背部痛、感冒様症状、腹痛など
  • 行動の障害:暴飲暴食、無断欠席、無謀な運転、けんか、ギャンブルなど

うつや不安症状が強い場合は、ストレスに直面しそのことを考えたりすると、憂うつ、喪失感、絶望感が現われ、職場(学校)で突然泣く、仕事(勉強)への意欲が失われ効率が落ち、集中力の低下からミスが現われることもあります。

 

適応障害とうつ病の違い

適応障害と診断する際にもっとも重要な疾患は、うつ病です。

うつ病と適応障害とを鑑別するときに、一つの指標になるのは、適応障害はストレス因から離れている時間(仕事がストレス因の方の場合は休日など)は症状が軽くなることが多いということです。

例えば、仕事がストレス因となっている場合、勤務する日は憂うつで不安が強くなり吐き気を催したりしますが、休日は割と気分はよく、外出したり趣味を楽しんだりできる場合は適応障害を疑います。

それに対して、持続的な憂うつ気分、興味・関心の喪失や食欲の低下、不眠などが2週間以上、ほぼ毎日(休みの日も!)続く場合はうつ病を疑います。

実臨床では、適応障害と診断するか、うつ病と診断するか、迷う症例も多いです。

また、当初は適応障害と診断しても、その後の経過でうつ病や別な病気に診断名が変わることもよくあります。

診療においては、適応障害を繰り返している場合などは、適応障害に至りやすい本人の特徴(発達障害や知的障害、人格的な偏りなど)がないかを考える必要があります。

適応障害の治療

適応障害の治療は、まずはストレス因となっている原因をはっきりさせる(認識してもらう)ことから始まり、そのストレスを減らしていくことが大まかな治療方針になります。

ストレスを減らすための考え方は、①「受けるストレスを軽減させる」 ②「受けたストレスを解消する」の2つが基本になります。

①受けるストレスの軽減

受けるストレスの軽減には、環境調節はとても有効です。具体的には、業務量の軽減や業務内容の変更、休職などの対策を行います。

必要であれば家族や職場の方にも治療に同席していただくことで、サポート体制を作ってゆきます。ストレス因を解決しながら、少しずつ前に進んでゆくことが治療の中心になります。

また、自分の考え方の癖を修正することで受けるストレスを軽減できる場合もあります。

例えば、入職したばかりなのに「早く業務をこなさないといけない」、「ミスをしてはいけない」、「早く仕事を覚えないといけない」などとガチガチに固まってしまうと、どうしても辛くなりますし、適応できる前に疲れてしまいます。

診療する中でそのような思考の癖を見つけて、少しずつ修正していくことも治療的です。

②受けたストレスの解消

散歩などの軽い運動や自分が元々好きなことをして気分転換をする、バランスの良い食事をとり、夜はしっかり眠るなどの健康管理などが有効です。

利害関係のない友達に愚痴を話したり、精神科医に話を聞いてもらうことも治療的です。


③薬物療法

適応障害の治療において薬物療法はあくまでも補助的な役割にとどまりますが、必要があれば不安や緊張を軽減するために。抗不安薬や少量の抗うつ薬などを処方することがあります。似たような効果を期待できる漢方もあります。

 

まとめ

生活環境が変わりやすい春は、変化した環境に適応しきれずに精神や身体的に不調をきたす適応障害を発症しやすい季節です。

「最近ストレスが多いなぁ」と感じている方は我慢だけするのではなく、①受けるストレスの軽減(環境調節、考え方の癖) ②受けたストレスの解消(気分転換、友達との交流など)を意識してみましょう。

それでもうまくいかない場合、症状が続く場合は、一人で悩まずに専門医を受診しましょう。

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適応障害の症例や有病率など疾患の要約がまとめられたページです。

気分の落ち込みやストレスをセルフチェックできるサイト

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*女性の健康推進室 [厚生労働省](男性も利用できます)
**働く人のメンタルサポートサイト [厚生労働省]

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