目次

アメンチア

軽い意識混濁があり、思考のまとまりのなさ(思考散乱)と、周囲の状況を理解しようとするがよくわからないので困惑することが加わった状態。

意識混濁が比較的軽いのに連想障害が高度で思考のまとまりがなく、見当識の障害が強い。重篤な意識混濁やせん妄からの回復の経過中にみられる。

迂遠

思考目標は見失われないが、1つひとつの観念にこだわって詳しく説明するので、回りくどく、要領よく思考目標に到達できないものをいう。

てんかんや認知症で見られる。

うつ病

エピソード

持続時間の短い異常心理学現象を挿話 episode と呼ぶ。

慣習的に24ヶ月を超えると経過が慢性になったと考え、エピソードとは呼ばずに病態 conditionと呼ぶ。

解離

意識、記憶、同一性、環境の知覚といった日頃は統合されている機能の混乱である。 解離は、隠蔽された痛ましい記憶、恐怖、願望のみならず、 外傷的出来事が生じた際の心的外傷そのものに対する防衛機制で、圧倒されるような恐怖、 痛み、絶望から自我を守る防衛とされる。身体的な解離である転換性障害と精神的な解離である解離性障害に分離される。

解離性障害

学習障害

全般的知能には異常が存在しないにもかかわらず読む、書く、計算するな どの特定の能力が劣る児童を学習障害という。

仮性認知症

高齢者のうつ病では制止が強くなると、動作も鈍く質問に対する応答も遅くなるので、認知症と誤診されることがある。しかし質問に答えようとする態度があり、時間をかけてゆっくり対応すれば正しい応答がえられるなどで、真性の認知症と鑑別できる。

葛藤

欲動(たとえば「プリンが食べたい」)と意思(「ダイエットすべきだ」)の対立が持続する状態が葛藤である。

カプグラ症候群

自分に密接な関係にある人や自分自身が、いつの間にかうりふたつの替え玉に置き換えられたと述べる妄想。「ここにいる夫は本当の夫ではない。よく似ているが以前より冷たくなった」など訴える。

カプグラ症候群は統合失調症に多く見られるといわれている。知らない人を知人と誤認したり、あるいは知人を未知の人と誤認することを人物誤認というが、人物誤認は錯覚であり、妄想であるカプグラ症候群とは区別される。

カフェインの作用

カフェインの作用機序は、アデノシン受容体(抑制性)に対する拮抗作用で、脳で覚醒系の機能を高める。高用量で はドーパミン活性を増強する。カフェインの半減期は3〜10時間。

コーヒー1 杯には100mg程度のカフェインが含まれ、250mg 以上を使用すると急性症状として落ち着きのなさ、神経過敏、興奮、睡眠障害、利尿などが起こる。さらに大量を摂取すると精神運動興奮、易怒、焦燥、多弁、不整脈などが起こる。

関係妄想

周囲の人の言動、出来事、新聞やテレビの 言葉などが、自分に対してのもの、自分に関するものと確信する妄想である。内容は当てつけや中傷など被害的なものが多い。

感情失禁

わずかの刺激で激しい気分が発生し、自らこれを統制できない気分状態。 たとえばテレビで感動的なシーンで、人と比べものにならないほど強く感動し、涙を流してしまうなど。

感情鈍麻 / 感情の平板化

表情変化の乏しさ、身ぶりの減少、自発的動きの乏しさ、アイコンタクトの乏しさ、声の抑揚の欠如などによって示される、 情動表出の範囲の明らかな減少である。感情鈍麻は 感情の浅薄さと冷淡さ、自分自身と他者の安 寧や将来に対する無関心として現れる。統合失調症で認める。

観念奔逸

観念が次々と湧き起こり、その時々の偶然の連想(思いつきやその場の出来事など)によって思路が左右され、思路が最初の目標から外れていき、思考全体のまとまりがなくなる思考障害。躁状態で認めることがある。

記憶錯誤

過去の実際の経験が事実とは異なって再生される誤記憶と、過去に全くなかったことを経験したとして再生される偽記憶がある。

器質性と機能性

脳実質の異常をなんらかの検査結果から推定できる場合、器質性の原因(成因)が存在すると表現する。一方、こうした検査所見の異常が見出されない場合、これを 機能性であるという。

気分循環症

気分循環症は抑うつ状態や軽躁状態の期間が数多くみられるが、双極性障害やうつ病性障害の診断基準を満たすほど重症ではない。双極性障害患者の親族にしばしばみられる。

気分変調症

気分変調症は慢性の抑うつ気分状態で、少なくとも数年持続するが、反復性うつ病性障害の診断基準を満たすほど重症ではない。絶望感や自尊心の低下がみられ、いわば軽症慢性うつ病ともいえる。

共感

共感はいくつかに部類できるが精神科医療においては、Perspective taking が大切である。Perspective takingは相手の心理的味方を自発的にとる傾向にことで、相手の状態やこれまでの生活史を理解し、そのうえで、 もし自分がその立場だったらどう感じるかを思い測ることである。

強迫性障害

強迫観念

強迫観念は日常生活の中の実際の問題に対する多少過剰な心配ではなく、持続的で侵入的な観念、思考、衝動、 イメージで、コントロールできず 著しい苦痛を引き起こしているものである。そのために無視をしよう、抑えよう、 抵抗しようとするが、その結果さらに不安が高まる。

強迫観念の有無を確認する場合にその精神病理学上の定義を説明しても患者は理解出来ない。「ドアのノブが不潔に感じたりしますか」「外出時に家のガスの元栓が閉まっていないのではないかという考えが出てき て困ったことはないですか」「駅のプラットホームに立っていると列車 に飛び込んでしまうのではないかといった考えが頭に浮かんで止まらな いことがありますか」などと実例を出すほうが正しい反応を得やすい。 強迫観念の実例を多数記憶していることが大切である。

たとえば、「自分を傷つけてしまうのではないかと考え、ナイフやフ オークを使うのが怖い、尖った物が怖い、窓ガラスの側を通るのが怖い」「他人を傷つけてしまうのではないかと、 自分の赤ん坊を殺してし まうのではないか」「公共の場面で卑猥なことをしゃべってしまうので はないか」「電話番号、時間、車のナンバープレートなどを正確に覚えていないと気になる」 など。

強迫行為

強迫行為は繰り返される行為、行動、思考で、多くの場合は強迫観念や病的な恐怖に関 連し、また恐ろしい出来事が起きないように するためや強迫観念に関連する不安、苦痛を中和するために行われる。強迫行為によって不安や強迫観念が和らぐのは一時的であるので、繰り返し行うことが必要となる。強迫行為には目に見える行動の他に、心の中で繰り返し行われる強迫行為もある。

たとえば、「汚い物に触れたと思うと長時間手を洗う」「儀式的に服を脱ぐ順番が決まっている」 「人を傷つけたか心配で、電話して確認する」 「同じところを繰り返し読む」「ある行動を決まった回数行なわないと気 がすまない」など。

恐怖

恐怖および恐怖症は、その 恐怖の対象となるものに対する過剰で、 持続的かつ非合理的な恐れと、できる限りその恐 怖の対象を回避しようとするものである。高所や閉所、虫、先端など特定の恐怖症が代表的であるが、他にスピーチ恐怖症のように限局型の社交不安障害、広場 恐怖などでも認められる。

緊張病症候群

主として緊張型統合失調症にみられる意志発動の障害で、精神運動興奮を主とす る緊張病性興奮と、緊張病性昏迷とが中心になり、そのほかカタレプシー、反響動作、常同症、街奇症、拒絶症などもみられる。緊張病症候群は躁状態の興奮とは異なり、意味不明、奇妙で了解困難な印象を与えるのが特徴である。

クレペリン

クレベリン Emil Kraepelin (1856-1926)は症状学の研究者。ドイツの精神医学者。その教科書の第5版で、早発認知症 dementia parecox (現在の統合失調症)に疾患単位としての概念規定を行なった。

見当識

自分自身に関する基本的見当づけの能力を見当識という。見当識が保たれるには、意識、記憶、認知等の機能 が障害されていないことが前提となる。意識障害があれば見当識も低下する。しかし、それ以外の脳の器質的疾患 (たとえば認知症、健忘などのように知能や記憶が障害される場合)や機能性精神疾患(たとえば解離性障害、統合失調症、うつ病)でもしばしば見られる。

見当識障害

時間や場所、人物などがわからなくなること。記憶障害や判断障害によりおこる。見当識は時間の見当識、場所の見当識、人物に関する見当識の順に障害されやすい。人物については自分自身の見当識より他人に関する見当識のほうが早く障害される。認知症やせん妄などで認める。

欠陥状態

精神機能に何かしら欠損を生じた状態。統合失調症では一般的に慢性・進行性の経過をとり、シュープを繰り返して末期には情意鈍麻の著しい荒廃に至ることがある。一方、治療により病勢が停止し多少の人格水準の低下を残して安定することもあり、これを統合失調症性欠陥と呼んだ。思考、感情、意志が単調になり、平板化し対人接触は表面的になる。

月経前症候群

月経前に不眠や頭痛、気分変調などをきたす。月経前不快気分症とも言う。

幻覚

幻覚はそれに対応した外界からの刺激を伴わない知覚、すなわち“対象なき知覚”であるのに対して、錯覚は歪められて知覚する現象であり、対象が実在するか否かで区別される。幻聴、幻視、体感幻覚、幻味、幻臭など五感に対応する幻覚がある。統合失調症では悪口や非難など被害的な内容の幻聴が多く、せん妄やアルコール症などでは幻視が多い。

健忘

意識障害(たとえば頭部外傷による意識消失)の期間の出来事を、意識障害 から回復した後で追想できない状態を健忘という。

ある期間すべての追想ができないものを全健忘、一部想可能なものを部分健忘という。

意識喪失の期間と追想欠損の期間により同時健忘、逆行性健忘 、前向性健忘に分けられる。健忘はその原因により、器質健忘と心因健忘に分かれる。アルコールにともなすブラックアウトも健忘に含まれる。

考想吸入(こうそうすいにゅう)

他人の考えが自分の考えの中に押し込まれてしまうという体験。

誇大妄想

肥大した自己評価を内容とする妄想の総称 であり、内容によって血統妄想、宗教妄想、発明妄想などと呼ばれる。

一次的な誇大妄想は妄想着想として統合失調症に生じることが 多い。

二次的な誇大妄想は、気分に一致した妄想として躁病エピソードの誇大感から生じるほか、統合失調症では幻声や被害妄想に基づいて生じる。

昏迷

外界に対する認識は保たれているが、緘黙(しゃべらないこと)と無動(動かないこと)のため、周囲の人間との意思疎通はほとんどできない。意識障害には含まれないが、一見意識障害に見える。

作話

作話とは事実とは異なる内容を事実と思い 話すことである作話には、健忘を満たすための当惑作話と、空想傾向の強い空想作話が ある。

させられ体験(作為体験)

自分の思考、感情、意欲、行動が外部から操られているという症状、能動性の障害 。主に統合失調症でみられる。

錯覚

錯覚は、実際にある対象を誤って知覚することである。それぞれの感覚器 について発生しうるが、現実には錯視と錯聴がほとんどである。心理学でいう錯覚にはこの定義にあてはまらないものがある(同じ長さや大きさものが違って見えるなど)。

産後うつ病

産褥精神病

産褥後数日から数週に生じる精神障害の総称。錯乱、せん妄、幻覚・妄想、抑うつ、解離などの状態像を呈し、予後は一般的に良いとされるが、自殺や母子心中を起こすことがある。

自我障害

統合失調症性の自我障害 は、種々の心的行為が他の力によって「させられる」と感じる自己能動感の障害であり、 全て一級症状である。被影響体験、させられ体験とも呼ばれる。

これらの自我障害は、ICD-10 では妄想に含められる。

思考化声

自分の考えが外部から声となって聞こえるもの。「たとえばブログを呼んでいる最中に『このブログはつまらない』と思うと、それを口に出していないにもかかわら ず、『このブロガーの話はつまらない』という声が天井から聞こえてくる。

思考制止

観念が思うように浮かばず、判断力が低下し、思考がうまく進まない状態。観念奔逸の逆。うつ病などで認める。

思考奪取(しこうだっしゅ)

生起した考えが取られてしまうという体験。

「自分の考えたこが、誰かに抜き取られてしまう」ように感じる。

思考伝播(しこうでんぱ)

自分の考えが他に伝って(伝播)してしまい、他人に自分の考えがわかってしまうと いう体験。自分の考えがわかる方法がないにもかかわらず、他人が自分の 考えを正確に知ってしまうのが考想伝播である。

思考途絶

思考の進行が急に中断され、思考が停止するものである。談話は急に停止する。統合失調症で認める。

自閉

自閉はブロイラーにより統合失調症の基本障害の一つに 取り上げられ、自閉を統合失調症の最も基本的な障害と考えるものは多い。患者は脳の機能障害による自我能力の低下やその他の原因による困難に対応するために現実世界から逃避し、自分だけの世界(自閉世界)に閉じこもるとも考えられている。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

死別反応

愛する者の失踪あるいは死によって抑うつ気分を生じる死別反応は、正常な反応である。死別反応による抑うつ気分は通常、2か月を超えないとされており、2か月を超えて抑うつ気分が持続する場合には、大うつ病性障害への移行を考慮する必要がある。

社会的機能

職業、勉学、友人づきあい、趣味や余暇、夫婦関係、親子関係など、人間の日々の生活にとって重要な領域における機能である。精神疾患が重度なほど、より社会機能不全をきたす。

シャルル・ボネ症候群

認知面・心理面の異常のない低視力になった人に起きる、そこにはないはずの人物、動物、建物などが見える複雑幻視のこと。

社交不安障害

シュナイダーの一級症状

ドイツの精神医学者であるシュナイダー Schneider ( 1891 – 1945 )が統合失調症の診断に重要であるとしてあげた症状。

  1. 考想化声
  2. 会話形式の幻聴
  3. 自分の行為を絶えず批判する声の幻聴
  4. 身体への影響体験
  5. 考想奪取
  6. 考想などの思考領域での影響体験
  7. 感情や衝動や意志の領域に現れる影響体験
  8. 妄想知覚

循環気質

善良、温厚、社交的で爽快と悲哀をさまざま割合にもち、現実的で周囲の人や環境に適応しやすい。躁うつ病に近縁の性格類型。

症状

観察される人間(患者)が主観的に体験する内的現象が症状 symptom 。一方、観察する人間(医療従事者)が観察し、診 察できる外的現象が徴候 sign である。たとえば、膝関節の痛みは症状であ り、膝関節の腫張は徴候である。しかし、精神医学では症状と徴候を特に区別せず、合わせて症状と呼ぶ慣わしがある。

症候群

複数の症状がほぼ同時に出現する場合、ともに出現しやすい症状の組み合わせがあり、これを症候群 syndromeと呼ぶ。

自律神経失調症

微細で多様な訴え(たとえば、 全身倦怠感、めまい、 頭痛、動悸など)があるものの身体的に説明できる診察所見や検査結果が見られないものを、 内科領域では自律神経失調症と呼んでいる。自律神経失調症は精神医学的診断名ではなので、気分障害、不安障害、身体表現性障害などそれぞれ診断基準に合わせた診断が必要である。

心因反応

家族や親しい人の死、失恋、職場の対人トラブル、失業、大きな事故・災害など、心理的に大きなダメージを受けたときに起きる「一時的な心理的反応」のことをいいます。

振戦

律動的に動く不随意運動で、力をぬたときに見られる安静時振戦、ある姿勢をとらせたと時の姿勢時振戦、動作時振戦などに分けられる。

振戦せん妄

アルコール依存の者が飲酒を中断した時に生ずる意識の障害で、不眠、不 安、不穏、振戦を伴い、意識水準は変動しやすい。小人幻視、パレイドリアなどの幻視や錯視が見られやすい。

心的外傷

生死に関わるような適切に対応できない強いストレス因子、ストレス状況のことで主体の許容度など主観的な要素も大きい。これに反応して生じる精神障害をストレス障害と呼ぶ。ストレスから発症までの時間で急性と心的外傷後に分けられる。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

例えば大震災、火事、 はげしい事故、強姦など、生命や安全を脅かされるような著しく脅威的あるいは破局的な性質のものを体験(本人が実際に体験したものだけでなく、他人から伝聞したものもはいる)後、数週から数ヶ月経ってから、①再体験症状(フラッシュバックが有名)、②回避/麻痺症状(場所を避ける / 感情が鈍くなる)、③覚醒亢進症状(不眠、驚愕反応)などの症状が出現する障害。

睡眠障害

ストレス

ストレスを与えるものをストレッサーと呼び、ストレスの結果個体に生じた変化をストレス反応と呼ぶ。ストレッサーには、 物理的ストレッサー(例:高温、 電気刺激)と心理的ストレッサー(例:親しい人の死、上司との不和)がある。精神科においては、心理的ストレッサーが問題となり、多くは対人的ストレッサーである。

精神病理学

精神病理学 psychopathology は異常な体験、認知、行動を非生物学的手法で体系的に研究する学問領域である。

脆弱性

生体に元々備わっている発病のしやすさ。

前駆期(統合失調症の)

厳密に言えばまだ統合失調症状が出現していない時期であるが、発病初期で、何らかの精神異常がみられるが、統合失調症という診断基準を満たさない時期ともいえる。前駆期症状には抑うつや不安、思考力、 集中困難、弱い関係念慮などが みられることもある。

先天と後天

一般的に、出生時より認められ、以降に治癒的介入を行なわない限り持続する疾患は「先天性 congenital」と呼ばれる。一方、生まれてからしばらくして発生 する疾患は「後天性 acquired」であると呼ばれる。知的障害や一部の発達障害などはいわば「先天性」に含まれる。

全般性不安障害

躁うつ病・双極性障害

爽快(高揚)気分

気分が爽快で快活、生き生きとして楽天的な状態。躁病で典型的に認められる。

素行障害

他者の権利を侵害する行為や年齢相応の主要な社会規範または規則に違反する行動を反復的または持続的に起こそうとする状態である。素行症や行為障害とも呼ばれる。

退行

発達の低い段階へ戻ること。

退行期メランコリー

退行期、初老期に初発する抑うつを前景とする精神病。精神運動静止より不安・焦燥が前景に立ち、猜疑的で妄想(罪業、心気など)を抱きやすい。

遅発パラフレニー

60歳以降に体系を伴った妄想(被害、心気、嫉妬、性的主題など)を主張として発病するもので、幻覚を伴うことがあり、人格はよく保たれ、器質障害や感情障害を示さない。圧倒的に女性が多く、未婚者や独居者に多い。

注釈的幻聴

自分の考えや行動について、それが起こると次々とそれを注釈する(説明する)声が聞こえるもの。朝起きたときに、『やっと起きたよ。何時だと思っているんだ』、トイレに行くときに、『朝一番の仕事が排泄か』と言ってくるなど 。

通過症候群

頭部外傷などの回復過程には急性期の意識混濁が次第に回復して、慢性の脳機能低下状態としての認知症に移行していくが、この移行期の間に意識障害はほとんどないが健忘、自発性低下、感情障害、幻覚·妄想などを主とする中間的状態を経過する。

転帰と予後

転帰は、疾患などが一定の経過を経た後の状態のことで、すでに知られている状態のことである。予後は、疾患などが今後どのような経過を結果を示すかを予測したものである。

転導

他から刺激があって注意の対象が移行することを転導という。こうした注意の対象が短時間の間に、しかもわずかな刺激でも転導しやすいことを、転導性の昂進 という。転導性の昂進はそう病や小児の注意欠陥障害に典型的に見られる。転導性が減少した状態 (限定されたことがらにのみ集中し、他のことがらに注意が向かない状態)が没入である。

統合失調症

統合失調感情障害

初期に躁うつ、次いで急性に幻覚妄想状態になり、速やかに寛解状態して残遺症状を残さない精神病。

統合失調気質

内気、非社交的で友人が少なく、独自の考えに陥りやすく、固執傾向がある。

二重人格

同一の人間に異なるふたつの人格があらわれること。解離性障害やてんかんのもうろう状態で認める。

二重見当識

妄想などで謝った見当識をもちながら、正しい現実的な見当識が併存していること。

認知症

パニック障害

パニック発作

パニック発作は身体症状を伴い、死に至るかもしれないという予期を伴うほど、 突然襲ってくる重度の不安である。パニック発作の特徴は、少なくとも初めての発作は突然に起こることである。また、急激に不安・恐怖が頂点に達し、動機、頻脈、呼吸の浅さ、めまいといった顕著な身体症状を呈する。

反響症状

目前の人物の言葉や動作を、やまびこのように繰り返す行為。言われた言葉を模倣する反響言語と、相手の動作を自動的に模倣する反響行為がある。意思の低下に由来し、緊張病症状の一つ。

被害妄想

自己あるいは身近な人に対する他者の悪意 が感じられるという被害的内容の妄想で、妄想内容 として最もよくみられる。

妄想対象はあいまいなこともあれば、 特定ないし不特定の人ないし集団のこともある。注察妄想、追跡妄想、被毒妄想は広義の被害妄想に含められる。

統合失調症を含むあらゆる精神 病性障害のほか、重症うつ病エピソード、操病エピソードにもみられる。

微小妄想

罪業(罪責)妄想 (社会規範や倫理に反したという妄想的確信)、貧困妄想(事実に反して経済的に困窮しているという妄想的確信)、心気妄想(重大ないし不治の病気にかかっているという妄想的確信)など自己評価の低下を内容とする妄想の総称である。これらは気分に一致した妄想 として重症うつ病エピソードにみられる。

病識と病感

自分が心の疾病を有していることとその性質を、同一文化圏、同一教育水 準の人がもつであろう程度に、十分理解すること、あるいは理解していることを病識という。病感は病識はないものの漠然と自分は病気であるとの感じで、病識ほど明確ではないが、「以前とは違う」「健康ではない」との認識、不安をもつ。

病前性格

精神障害の発病前の患者にある程度共通する性格傾向。

非定型精神病

統合失調症と感情(気分)障害(一部、てんかんを含む)のどちらにもうまく当てはまらない内因性精神病。

不安

不安は自分の中または外界での危険 に対する予期によって生ずる心配、恐怖感、 心細さである。正常範囲の不安には適応的な意味がある。

病的な不安はその状況(危険度)に似つかわくないほどに過剰で、時間的に長く継続し、または繰り返して体験し、明らかに心理的に苦痛を感じ、その人の全体的な機能に悪影響 を与える。一方で正常範囲の不安は程度が軽く行動に影響を与えても一時的で、 全体の機能に支障を来すことはない。

フラッシュバック

元々、LSD使用者に恐ろしい映像が意志に反して繰り返し侵入する現象を呼んだ。その後、PSTDの心的外傷体験想起にも用いられるようになった。

フロイト

フロイト Sigmund Freud (1856-1939)はウィーンの神経学者で精神分析の創始者。ウィーン大学医学部卒業後、 神経学を学んだが、やがて神経症の治療から精神分析を創始した。無意識、防衛機制などの用語は彼によって精神病理学的概念を与えられた。

ブロイラー

ブロイラー Eugen Bleuler (1857-1939)はスイスの精神医学者・症状学の研究者。著書 Dementia praecox oder Gruppe der Schizophrenienで統合失調症群という用語を提示した。統合失調症の経過中に必ず出現する主要な症状という意味で4つの基本症状とよんだ。

ブロイラーの4つのA

  1. 思考障害における連合弛緩
  2. 感情障害(感情鈍麻、異常な過敏さなど)
  3. 自閉(外界との接触を避け自分の殻に閉じこもる)
  4. 両価性(同一の対象に相反する感情を同時に抱くという矛盾した感情の動き)

マタニティーブルー

主に初産後の3〜8日に生じる一過性、抑うつ性の感情不安定で、理由なく涙もろくなり疲れやすい。ホルモンの急激な変化によるものとされる。

ミュンヒハウゼン症候群

虚偽の多い劇的な生活史を述べ、身体症状を捏造して入退院を繰り返しては治療者を振り回す患者の総称。

無意識

フロイトによれば、意識に受入れ難い観念表象、記憶、情動、衝動を意識水準から無意識に閉じ込めることで自我の安定をはかる防衛機制が抑圧 repression である。

意識内容を随意的に前意識に追いやる防衛を抑制 suppression と呼ぶ。抑制されたものは随意的に意識化することができるが、抑圧されたものは随意的に意識化すること はできない。

メランコリー親和型

秩序志向が強く、自己要求水準の高い、良心的で他人に尽くす性格。これを脅かす状況に直面すると、ますます自らを秩序の中に閉じ込め、達成できないと目標に遅れをとっていると感じて危機に陥る。うつ病と関連している。

妄想気分

何かが起きているというただならぬ気配,不気味な雰囲気を感じ、自分がそれに巻き込まれていると感じるが、それが何かは明確にわからない。統合失調症の急性期(精神病エ ピソード)の最初の症状であることが多い。一次妄想に含まれる。

妄想知覚

合理的にも感情的にも了解可能な動機なしに、真の知覚に異常な意味が付与されるものである。例えば、患者は自宅の前に自動車が止まっているのを見ると、「自分を狙っている組織があり、見張られている」と確信する。一次妄想に含まれる。

妄想着想

着想が突然に生じて直ちに確信される。そ の内容は自己に関するもの(心気、血統など)、他者に関するもの(被害、嫉妬な ど)、物に関するもの(発明など)など様々で ある。

例えば、警官を見かけたとき、その警官に対する自己関係づけが生じることなく、自分は指名手配されていると着想する。一次妄想に含まれる。

陽性症状と陰性症状

陰性症状は、感情の鈍麻と平板化、無感情、意欲・自発性欠如、快感消失、会話の貧困、寡動・動きの緩慢、社会的引きこもりなどであり、これに連合弛緩などの思考障害を加える場合もある。正常な精神機能の減少あるいは欠如を意味し、欠陥症状に相当するものである。

陽性症状は、派手な症状、生産的な症状ともよばれ、シュナイダーの一級症状、各種の妄想、顕著な思考障害(滅裂思考など)、緊張病症状、奇異な行動などである。

抑うつ気分

抑うつ気分は、一般的に「気分が落ち込んでいる」と表現されるような「憂うつ な気分」を表す。身体疾患や心理的要因などにより二次性に生じる場合があるが、大うつ病性障害における抑うつ気分は、うつ病の中核症状の1つであり、治療の対象となる。

離人感

自分が生きている実感が湧かない、生き生きした現実感・感情が感じられないという症状(現実感の消失)、能動性・境界性の自我障害 。そして自分自身の肉体を別のものと感じたり, 自分を他人を見るように見たりするようにな る。うつ病や統合失調症、神経症など幅広い病態で見られる症状。

フロイトは非現実化という防衛機制だと考え、フェーダン(Paul Federn、1871年 – 1950年 アメリカ合衆国の精神医学者)は真的エネルギーの低下により、自他の境界(自我境界)が不明瞭になったため起こると考えた。

両価性

対立した2つの感情が同時に発生する感情状態。統合失調症で典型的に見られる。

レジリアンス

健康時の発病のしにくさ、発病後の回復しやすさ。

連合弛緩

思考を構成する観念の間に論理的関連がなく、思考のまとまりがなくなるもの。統合失調症で認められる。重症化し、全くもしくはほとんど関連性が無くなうと、「滅裂思考」や「言葉のサラダ」と呼ばれる。統合失調症で認める。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)

DSM-5

Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th editionの略。アメリカ精神医学会が出版している精神疾患の診断・統計マニュアルで、精神疾患の基本的な分類や診断基準などが書かれている。現在は国際的に臨床でも研究でも広く利用されている。

参考文献
精神・心理症状学ハンドブック 第3版 日本評論社
カプラン臨床精神医学テキスト 日本語版第3版 MEDSi
精神症候学 第2版 弘文堂
今日の精神疾患治療指針 第1版 医学書院
現代臨床精神医学 第12版 金原出版株式会社

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